計量器市場において扱われる製品の大半は、現在デジタル式のはかりです。ソロバンが電卓に駆逐されたのと同様、アナログ式のはかりはデジタル式のはかりに圧倒されて、その影をひそめてしまったように見えます。実際アナログスケールを製造するメーカーは激減し、現在は数えるほどしかありません。
しかし、ソロバンがその教育的価値から根強い支持を得ているように、アナログスケールにもデジタルスケールにはない長所があり、その存在は輝きを放ち続けています。
魚屋さんや八百屋さんの店頭でアナログ式のはかりを見ることはほとんどなくなりましたが、農業、水産業、食品製造業などの現場では、いまなおアナログ式のはかりが多数活躍しています。
ここでアナログスケールとデジタルスケールの長所を書き出してみましょう。
★アナログスケールの長所
- 価格が安い
- 耐久性が高い
- 風雨に強い(水分や塩分に強い)
- 軽い
- メンテナンスが容易
- 電源不要
- 業務内容によってはアナログスケールの方が作業効率がよい
- 素朴な美しさがある
★デジタルスケールの長所
- 高精度→微細な計量物の測定も可能
- 文字表示のため測定値が見やすい
- 風袋引き、表示値固定などの便利な機能を搭載できる
- 個数秤や料金秤のように複雑な計算を瞬時に行うことができる
- ひょう量数十トンクラスの大型スケールも存在する
- 小型化もできる
- 全般的にアナログスケールより作業効率がよい
- 低価格化が進みアナログスケールとの価格差が気にならなくなってきた
デジタルスケールは、精度や計算能力などの機能面においてアナログスケールにはない圧倒的な強みをもっています。しかし、はかりの良さは機能面だけではありません。上記にあげた項目からも、アナログスケールには耐久性とメンテナンス性において一日の長があります。
特別な機能や高精度を必要としていない利用者の場合、アナログスケールで十分と考える人は意外に多いのではないでしょうか。
また、熟練した作業者にとって、アナログスケールはデジタルスケールにはない相性のよさをもっています。菓子やパンの製造、製麺業などに従事している職人さんたちは、原料の重さを量るのに上皿棹はかり(通称ウワカン)をよく利用します。職人の勘と上皿棹はかりのコンビネーションは、効率よくテンポよく作業する上で欠かせないのです。
最後に、これは執筆者の私見になりますが、アナログスケールにはなんとも言えない美しさがあります。シンプルな構造が醸(かも)し出す美しさ、無駄のない美しさと言い換えてもよいでしょう。
YAWATAの自動手ばかり TEシリーズ
YAWATAのばね式手ばかり(自動手ばかり)TEシリーズを見るにつけ、そうした美しさを強く感じます。バネ秤の原点とも言えるその円筒形の単純構造には、全くと言っていいほど無駄がありません。
ボディに施されたブラックとブルーの色彩コントラストも大変美しく、機能、形状、色彩が無駄なくバランスよく調和したYAWATAのベストセラーです。その美しさは昨今のレトロ調ブームにも後押しされて、独特の美しさを放ち続けています。
YAWATAは、今後もアナログスケールを造り続けます。
※YAWATAで製造しているアナログスケール - ばね吊りはかり、自動手ばかり、上皿棹はかり、上皿天びん
2010.02.12