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自動はかりの自動とは?

上皿自動はかり
上皿自動はかり


"自動はかり"という呼称は、計量器業界の人であれば誰でも聞いたことがあるはずです。上皿自動はかり(自動上皿はかり)、自動台はかり、自動手ばかりといった呼称は現在も使われており、YahooやGoogleで検索をかけると大量にヒットします。当社の手ばかりも、今なお自動手ばかりと呼ばれています。
では、ここでいう"自動"とはどういう意味でしょう?

みなさん既におわかりだと思いますが、この場合の"自動"は、"ばね式"という言葉に置き換えることができます。つまり、"ばね式はかり"のことを"自動はかり"と呼んでいるのです。
なぜ"ばね式"が"自動"なのか・・・? 

デジタルが当たり前の時代に生まれ育った若い世代には理解できないことかもしれませんが、ばね式はかりの登場は、当時の計量器業界に革命をもたらしました。
それまで主流だった天秤に代表されるテコ式のはかりは、分銅の組み合わせを人間が手作業で調整することによって、計量物の重さを割り出していました。しかし、ばね式はかりは計量物を「載せるだけ」、あるいは「吊るすだけ」で重さを測定することができたのです。ばね式はかりは、手動で分銅を調整することなく、自動的に重さを量る(指示する)ことができる優れものだったわけです。

その後のデジタル式はかりの台頭により、ばね式はかりを自動はかりと呼ぶことにほとんど意味がなくなりました。デジタル式のほうが自動と呼ぶにふさわしいからです。このことをよくわかっている計量器業界の人たちは、今では"自動はかり"という呼称を日常ほとんど使いません。しかし、製品カタログやホームページの記載の中には、根強く"自動はかり"という表現が残っており、今日に至っています。

一方、"自動はかり"という用語の意味に国際的統一見解を見出そうとする動きもあります。
計量計測機器の高度化、計量計測器産業の振興・発展を目的として発足した社団法人JMIF(日本計量器工業連合会)は、はかりに関する用語の統一化に尽力しており、国内外の規定による表現の差異をなくそうと、計工連規格017「はかり用語」という冊子を作成しました。その中に書かれている"自動はかり"という用語の定義は以下のとおりです。

<自動はかりの定義>
操作者の介在無しに計量し、はかりの自動動作についてあらかじめ決められたプログラムに従って行われるはかり。
<対応英語(参考)>
automatic weighing instrument

前述したばね式を意味する"自動はかり"とは、まったく次元の違う"自動はかり"の定義が書かれています。
"あらかじめ決められたプログラムに従って行われるはかり"と規定されているように、この定義による自動はかりとは、一連の計量行程を実装されているソフトウェアで自動化することができ、人間が手作業で計量物を載せおろしすることなく、計量過程で操作者の介在を必要としないはかりです。静止状態で計量を行うはかりではなく、動的な流れの中で計量できるはかりに"自動"の概念を見出している点が重要です。ホッパースケールやコンベアスケールなどが自動はかりの代表格と言えるでしょう。なお、ここで言う"自動はかり"は、計量法の規制対象外であることも付け加えておきます。ばね式を意味する"自動はかり"は、計量法上では皮肉なことに"非自動はかり"に属しますので、規制の対象になります。

日本にばね式はかりが登場したとき、日本人はその便利さゆえにそれを自動はかりと呼びました。私の知る限り、中国にもばね式はかりを自動秤と呼ぶ慣習があるようです。しかし、欧米諸国においては、ばね式はかりが自動(automatic)はかりと呼ばれることはほとんどなかったようです。欧米諸国にとって自動はかりとは、JMIFが規定した定義のようなはかりを指すのでしょう(推測です)。

"自動はかり"という呼称をめぐる日本の状況は、日本独自の慣例的な呼称と、用語の国際的統一を求める動きとの間で錯綜し、レトロ感と先進イメージが交錯する奇妙な事態になっています(それを気にかけている人はほとんどいませんが・・・)。時代の流れから言えば、ばね式を自動と呼ぶ慣例はもはや古いと言わざるを得ません。今後ばね式を自動と呼ぶ慣例は徐々に消えていくのかもしれませんが、それを寂しいと感じるのは私だけでしょうか・・・。

今回は自動はかりの"自動"をめぐる雑考を綴りました。
あくまで雑考です。最後まで読んでくださった方、どうもありがとう。

2010.08.04